ケーブルによってどれほど差が出るのか興味が湧いたため自作して比べてみた。
今まで使っていたものは E.D.GEAR の 3 m で ¥1,500 くらいのもの。 今回自作したものは、ケーブルには MOGAMI 2524、プラグには TOMOCA JS-101R と REAN NYS224S を使っている。
感覚で評価するのは嫌だったので録音して比べてみたのだが、想像以上の違いに驚いた。 ベースとオーディオインターフェースを直接接続して、シールド以外、ゲインの設定などは一切変えずに比較している。
ここまで違うと演奏の違いは無視していいだろう。 全体的に音が大きくなっていて、低音と中~高音もよく出ている。 劇的に改善した。
5 kHz より上の音が全く入っていなのはベースのピックアップの仕様なのだろうか。
MOGAMI 2524 vs CANARE GS-6
シールドの自作には MOGAMI 2524 と CANARE GS-6 がよく使われているようだ。 BELDEN や OYAIDE も人気なようだが、価格が跳ね上がる。
MOGAMI 2524 | MOGAMI 3368 | CANARE GS-6 | CANARE GS-4 | |
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中心導体断面積 (mm2) (AWG) | 0.565 (20) | 0.565 (20) | 1.0 (18) | 0.39 (22) |
中心導体の構成 (本/その直径 mm) | 50/0.12 | 50/0.12 | 127/0.1 | 50/0.1 |
内部導体抵抗 (Ω/100m) | 3.3 | 3.3 | 1.8 | 4.7 |
外部導体抵抗 (Ω/100m) | 1.3 | 2.4 | 2.5 | 3.1 |
静電容量 (pF/m) | 130 | 70 | 160 | - |
重量 (kg/100m) | 5.1 | 6.2 | 5.0 | 2.7 |
外径 (mm) | 6.0 | 8.0 | 5.8 | 4.0 |
GS-6 も気になっている。 中心導体の構成と抵抗値が 2524, 3368 と大きく異なっている。 2524 の上位モデルである 3368 で MOGAMI は静電容量の低さをアピールしているが、GS-6 は 2524 よりも静電容量が 23% 大きい。 こうした数値の違いは音にどう影響するのだろうか。 絶縁体の厚みや構成などによっても特性は変わるはずだ。 実際に試してみたい。
GS-6 と悩みながらも今回 2524 を採用したのは、MOGAMI が公開しているテック・カタログが素晴らしかったから。 各ケーブルに添えられた短い説明文と、カタログデータの見方や意味を解説した付録から愛と自信と情熱とを感じたし、Hi-Fi オーディオについて書かれたコラムでチクりとしているところにも好感を持った。
Sony を始めとするオーディオメーカーのほとんどと、電線メーカーは表皮効果を否定し、純度な ど無数の魔術的要因を持ち込んで、理工学では理解できない多量のギミック製品を生み出してきました。 ただし、パナソニックのようにギミック製品とは無縁な真面目なメーカーもあります。
MOGAMI Tech Catalog, 2019, p.68
REAN NYS224S について
今回使った NYS224S はサイレントプラグと呼ばれるもので、ジャックから抜くと Tip と Sleeve が短絡するような機構が組み込まれている。 ギターとベースで抜き挿しすることを想定して採用してみた。 耐久性はまだわからないが作りはしっかりしているように見える。 楽器から抜く瞬間も抜いた後もノイズが出ないので便利だ。
REAN は有名メーカー Neutrik のセカンドブランド。 Neutrik が販売しているサイレントプラグは ¥2,180 で 7 倍以上する (NYS224S は ¥300)。 安かろう悪かろうも覚悟していたが、思ったよりも質感が良く満足している。