MSI B450 Gaming PLUS MAX というマザーボードの BIOS をアップデートした。 にビルドされた 7B86vH5
から、 現在最新の安定版である 7B86vHE
へのアップデートである。
ただやってみたいという動機だけで、特段理由もなく行った。 文鎮化する恐れに対して得たものは少ない。 アップデート後に気づけた変化は tty
の解像度が上がってフォントがシャキっと表示されるようになったことぐらいだ。 これは副次的な、BIOS をアップデートせずに達成できたことだと思う。
よく言われる通り、明確な目的がないならアップデートは必要無いだろう。
作業自体はかんたんだった。
作業記録
$ uname -srmo
Linux 5.18.13-arch1-1 x86_64 GNU/Linux
上の環境で作業した。下の手順で完了する。
- USBドライブを用意する
- (1) を
FAT
でフォーマットする - 公式サイトのサポートページから BIOS をダウンロードする
- (3) でダウンロードした
.zip
ファイルを解凍する - (4) に格納されている
.txt
ではない ファイルを (2) にコピーする - (2) を PC に接続した状態で再起動する
- 起動中に
<DELETE>
キーを押下し BIOS メニューに入る M-FLASH
機能を使って更新する
(8) の M-FLASH
機能については下の PDF に詳しい。
Windows 上で行う場合は下の動画が参考になる。
気づき
一足飛びにアップデートできた
BIOS のアップデートはひとつずつ ([A] から [C] にアップデートする場合、[A]→[B]、[B]→[C] というように) 行うべきだと思い込んでいた。 公式サイトにそういった記述が見当たらなかったので、7 つ上のバージョンに一足飛びにアップデートしたが全く問題なかった。 この思い込みはどこから来たのだろうか。 古の掟をどこかで読んだのか。 それとも脳が捏造したのだろうか。
BIOS の設定をバックアップしておくべきだった
失敗した。 改めて見直していないので不明だが、設定値のバックアップ機能ぐらいありそうなもんだ。 よしんば無かったとしても手控えておくべきだった。
KVM
がつかえなくなってハッとしたCPU の仮想化機能が規定値で無効になっていたため。 改めて有効化して解決した。
ファンの制御が効いていなくてうるさかった
Smart Fan Control
(的な名前の) 機能を有効化して解決。 BIOS メニューのHardware Monitor
(的な名前の) セクションから設定可能。
DisplayID なるものを知った
文鎮化の実例を知りたくて検索している中で、以下の動画を見た。
DisplayId
の不一致によってグラフィックカードが使えなくなったという内容だった。 RTX 30 シリーズを使っている場合、GPU のファームウェアをアップデートする必要があるらしい。
恩恵に気づけない
BIOS のダウンロードページに各版の更新内容が書かれている。 今回のアップデートでは以下が変更されたはずだ。
- Update to AMD ComboAm4v2PI 1.2.0.6c
- Improved USB device compatibility
- Optimized Resizable BAR (Re-Size BAR) function with NVidia Graphics cards.
- Optimized and support AMD Ryzen 5000 series processors.
- Improved AM4 processor compatibility
- Fix HDMI audio lost issue when use AMD RX570 vga card.
Ryzen 5 3600 と GTX1060 を使っているので (4), (5), (6) についてはそもそも関係がない。 (1), (2), (3) についても何が変わったかわからない。 初めに書いたとおり、明確な目的がないならアップデートは必要無いということがよくわかった。
Resizable BAR について
BAR は Base Address Registers の略らしい。以下を読んでおきたい。
Bitlocker...
これが最大のやらかしだった。 Bitlocker のリカバリーキーを紛失してしまったため、Windows 11 が起動できなくなってしまった。
BIOS をアップデートすると Bitlocker の保護機能が働きリカバリーキーを要求される。 こんなミスはそうないだろうけれど、Bitlocker を有効にしている方は BIOS をアップデートする前にリカバリーキーを確認しておきましょう。
systemd-boot:
console-mode
について/boot/loader/loader.conf
で指定しているconsole-mode
の設定値とそのふるまいがいまいちわかっていない。max
よりもauto
を指定したほうが解像度が高いのだ。$ man loader.conf ... console-mode This option configures the resolution of the console. Takes a number or one of the special values listed below. The following values may be used: 0 Standard UEFI 80x25 mode 1 80x50 mode, not supported by all devices 2 the first non-standard mode provided by the device firmware, if any auto Pick a suitable mode automatically using heuristics max Pick the highest-numbered available mode keep Keep the mode selected by firmware (the default)
「GTX1060 のファームウェアが提供する選択肢のなかで最大の番号を持つモードの解像度が
auto
で選択されるモードの解像度よりも低い」ということなのだろうか。ファームウェアが持っているモードの種類と番号を確認する方法が気になる。
あとがき
必要のない作業だった。 けれど、 DisplayID や BAR (Base Address Registers) を知ったり、systemd-boot や console についてドキュメントを読むいい機会にはなった。
次に BIOS をアップデートするとき (そんなのいつ来るのだとは思うけれど) の糧にしたい。